ラッキーなことに今日は部活もミーティングだけだし、これはもう神様が俺をお祝いしてくれてるとしか思えねぇって!


Love me,love you!


「じゃあ行ってくんな!どっか逃げんじゃねーぞ?」

「分かってるってば、逃げる訳ないでしょ?」

「へへ、じゃあ行ってくる。…ってやっぱ無理無理。なぁ、このままバックレちゃ駄目?」

「…あんまり遅れると真田先輩に怒られちゃうよ、赤也?」

後ろから抱きしめた俺の腕の中で困ったように笑いながらが言った。あー可愛い。こんな可愛い俺の彼女を離してどっか行ける訳ないって。しかも今日は俺の誕生日!1番に祝ってくれたに愛しさはいつもより倍増して、好きで好きでどうにかなっちゃいそうだ。体にブレーキがきかなくて想いのままに腕に力を込めれば、赤也苦しいと少しくぐもった声が聞こえた。

「あーあ、マジでこのまま動きたくねぇよー」

「そうか、ならそのままで結構だ」

耳の後ろで低いけどよく通る声が聞こえた。まさか、と思ってを抱く腕を緩めた瞬間には俺の体はもう浮いていた。というより動いていた?(いやいやマジで!)ぽかんとしているに、きっと恐らく同じ顔をしているであろう俺。俺の首根っこを掴んで引っ張る柳先輩がに「、悪いが赤也を借りるぞ。今日はミーティングだけだからすぐ済む。…赤也が弦一郎に捕まらなければ、の話だが」と声を掛けた。しばらく呆気に取られていたにごめんとの意味を込めて苦笑して手を振れば、可笑しそうに笑ったが手を振り返してくれた。

*

いつもの真田副部長の長いお説教がようやく終わったと思った時には、外はもう夕日でいっぱいになっていた。(話長すぎるだろ副部長!)やべぇなー、と思いながらお疲れっしたと挨拶をして部室を出ようとすると後ろからがしっと誰かに腕を掴まれた。ちょお待ちんしゃい、赤也。振り返ればとても楽しそうに笑う仁王先輩が、居た。この顔は確実に何か企んでる顔だ。逃げろ、俺の足!今ならまだ間に合う。そっと仁王先輩の腕を解いて逃げ出そうとしたら今度は後ろから「…赤也、先輩の話も聞かずに帰るつもりかい?」柔らかい声色なのに威圧感のある声に、俺の体は今度こそ固まった。…ああ、終わった俺の誕生日。

「…何スか仁王先輩」

「今日はお前さんの誕生日だそうじゃな、おめでとさん」

「…ありがとうございます」

「で、だ。心優しい俺達でこれから赤也の誕生会をしようかと思うんだが、どうじゃろ?」

「え?は?や、いいっス!そんなわざわざ悪いっスから!」

「遠慮すんなって!今回は俺達で奢ってやるぜぃ?」

「いやいやいや、今日はホントマジで勘弁して下さいよ!や、柳せんぱーい!」

「折角お前の為に皆が祝ってやると言っているんだ。観念したらどうだ?」

「実はもうお店も予約してしまったのですよ、切原君」

「柳生先輩まで!ひでぇ、裏切りだー!」

「赤也、人の好意を素直に受け入れんとは、たるんどる!」

「そうだね。…赤也、さんを呼んでおいで?」

にっこりと綺麗な笑顔で幸村部長は俺に地獄勧告を出した。―何で地獄かって?

*

、これ焼けたぜよ?ほら食べんしゃい」

「あ、ありがとうございます仁王先輩」

「なーなーコレうまい?1口食っていい?」

「どうぞどうぞー。甘くておいしかったですよ!」

…こうなるのが目に見えてたからだよ、ちくしょー。折角今日は1日中とまったり過ごそうと思ってたのに。つーか仁王先輩と丸井先輩にくっつきすぎだろ!離れろ!もそんな楽しそうに笑ってんじゃねーよ、あーあー。

「ふふ、相変わらず分かりやすいな、赤也は」

「赤也がああいった反応をする確立は97.5%だったからな」

「む、蓮二、それは何の確立だ?」

「ああ、弦一郎は気にしないでいい」

隣で先輩達は何か楽しそうに話してるし、は先輩達の冗談に思いっきり笑ってるし、ホント俺何やってんだろ。少しのイライラとに置いていかれたような寂しさで、どこにもやりようのない思いがぐるぐると腹の中を回っている気がする。とりあいず隣にジャッカル先輩の足が見えたので蹴って置いた。(痛ぇよ馬鹿!)

*

「あー、食った食った!腹膨れたか、赤也?」

「…っス」

「おー、礼はいらねーぜぃ!そんかわり俺の時期待してるからな!」

じゃーまた明日なー赤也ーー!手を振る先輩達を何も言わずに見送った。(つーかイライラでそれどころじゃねぇ)のには俺の隣でいつまでも手を振り続けている丸井先輩に律儀に手を振り返してる。(しかも笑顔だし)いい加減イライラの限界だった俺はの手を取って反対方向に歩き出した。握る手にぎゅうっと、力を込める。

「いい先輩達だね、赤也」

「どこがだよ!今日だって俺をからかって折角の誕生日なのに2人で過ごせなかったし!」

後ろから聞こえたのんきな声に思わず足を止めてを振り返りながら怒鳴った。静かな路地に俺の声が響いたのが分かる。だけどは俺の声に驚くどころか、一瞬目を丸めたと思ったらあははっと声を出して笑い始めた。いきなり笑い出したに今度は俺の目が丸くなった。なんだ、何で笑ってんだコイツ?

「あははははっ、はぁ…あーびっくりした」

「何がだよ」

「…いや、赤也は愛されてるなあって思って」

「はあ?」

の言葉に眉を潜めれば目の前のはにっこり笑った。皆赤也が大好きなんだよ、あたしは皆で赤也をお祝いできてよかったな!そう言うがあまりにも幸せそうな顔をしていたもんだから、さっきまで胸の中を回っていたイライラは一瞬のうちに消えたような気がした。…俺はやっぱり2人で祝いたかったけどな。

「なあ、

「なーに?」

「その皆ってのはも入ってる訳?」

きょとん、とした後すぐに「当たり前でしょ!絶対あたしが1番赤也を好きな自信あるもん!」と俺の大好きな笑顔で言ったにならいいか、なんて零してを抱き寄せた。嬉しそうに笑うもんだから可愛くてついキスをした。









そんなあなたが


好きなの!





(ちゅ、中学生がははは、破廉恥なあぁぁぁ!)
(おい、真田押すんじゃなか!バレるじゃろうが!)










赤也はやっぱりイジられてなんぼだと思う! Happy Birth Day Akaya Kirihara!!(090925)