5時間目、一番眠くなる時間によりによって数学だなんて最悪だ。 今日何度目か分からない溜息を吐いた後、僕はいつもどおり黒板の数式をノートに写した。 僕は別に数学が苦手とか、そういう訳では無いけれど 古典とか、そういったいわゆる国文系が得意な訳であって理数系は専門外。 黒板に白のチョークでずらりと並べられた数字達を見ると、また溜息が零れた。 先生に出された問題を解いていると、ふと背中に何かが当たった。 後ろに人が偶然何か当たったのかと思って気にしないでいたら、もう一度。 ふざけているのかと思って、少し眉間に皺が寄るのが分かった。 暫く反応しないでいると後ろから小さく声が掛かった。 「ねえねえ・・・、しゅーちゃん・・・?」 凄く弱弱しい、小さな小さな声。 そうだった、後ろの席はだった。 あまりの数学の気だるさに、つい先日代わったばかりの席順を忘れてしまっていた。 「ごめん、。つい問題に夢中になっちゃって・・・。 で、どうかしたの?」 首だけ後ろへ向けて、に問いかける。 「ううん、全然良いんだけど・・・。 えっとね、この問題が解けないんだけど・・・教えてくれないかなぁ?」 の持つピンク色のシャーペンの先が、ノートの上に書かれた数式を差す。 それでつい、問題じゃなくての指先に視線がいってしまった。 細長く伸びている白い指、 綺麗に手入れされた半透明の爪、 暫く、見惚れてしまっていた。 僕がボーッとしているのに気付いたが、不思議そうに首を傾げる。 「しゅーちゃん・・・?あの、もしかして分からない・・・かなぁ? 分からなかったら・・・その・・・無理しなくて良い・・・よ?」 は、僕が問題をずっと考えていたと思っていたらしく申し訳なさそうに呟いた。 僕はそれが可笑しくて、クスリと笑みを零してからささっと問題を解いた。 「ううん、違うんだ。ちょっとボーッとしてただけ。 えっと・・・これはね、ココにXを持って来て・・・それでコレをこうするんだよ」 体を横向きにしての方に向き直り、シャペーンの先を動かしながら解説をしてあげる。 僕の手がの机の上に乗った時、の手の爪先が僕の手を掠めた。 くすぐったいような、気持ちいいような、そんな間隔。 ただ一つだけ分かったのは、 掠めた爪先が、異様に熱を持っていなかった事。 は僕の指に自分の爪が当たったのに気付いたのか 「ごめんね」とそっと僕に言った。 暫く問題の解き方を教えていると、は「分かった!」と嬉しそうに手を叩いた。 の嬉しそうな笑顔に、つられて僕も頬が緩むのが分かった。 「凄ーい!しゅーちゃんありがとーv ・・・でもこんなにスラスラ解けちゃうなら、さっきは何でずっと黙ってたの・・・?」 今解けたばかりの問題を考えていた時よりも、は難しそうな顔をして僕に聞いた。 「んー・・・・クスッ、聞きたい?」 「聞きたいよ〜!何?面白い事?」 わくわくとした表情でが僕に問いかける。 そんな良いものでも無いと思うのにな、と心の中で密かに笑いながら僕は言った。 「実は・・・分からない事があってね」 「分からないこと・・・?何、それって〜?」 さっきよりも首を傾げているの左手をに握って、 その細長い薬指の、指先にそっと触れた。 「の手・・・細長くて綺麗だね。女の子って感じの手だ・・・。」 「わわ、そ・・・そうかな・・・?全然そんな事無いと思うんだけど・・・!」 の指を見ながら言う僕に、はその頬をやんわりと赤く染めた。 僕が指を握っている恥ずかしさからか、 触れた指から、の徐々に高くなっていく温度が伝わった。 「それに指先・・・。 ねぇ、。人の手ってこんなに暖かいのにさ、 指先はこんなに冷たいんだよ・・・?知ってた?」 の指を、そっと僕が握っているの左手の爪先まで持ってくる。 は少し考えてから「ホントだ!」と小さく零した。 「フフ・・・面白いよね、の手はこんなに暖かいのにね?」 「う・・・それは・・・しゅーちゃんの所為だよっ?」 恥ずかしそうには僕を見上げた。 「え?どうして・・・?」 「だってだってっ、しゅーちゃんがずっと私の手を握ってるからっ・・・」 言った後は更に顔を赤くして、恥ずかしそうに顔を伏せた。 その動作があまりにも可愛いくて、 つい、そっとの薬指にキスを落とした。 君の爪先まで、 僕の熱で支配出来るようにと。 ------------------------------------------------------- 恋人同士だか何だか分からなくなってきた・・・! そしてこのお話の問題点は教室でしかも授業中だという事を忘れている事です。(笑) ラブラブ指定という事で・・・!ごめんなさい、管理人ほのぼのしか書けませんでしたOTL 星野美姫ちゃんに捧げます!・・・口調真似てみましたがどうでしたでしょうか・・・?!(笑) |