5時間目の始まりのチャイムが校内に響いた。

ちょっと昼休みを満喫しすぎていた所為であたしとはチャイムが鳴り終った後でもまだパタパタという音を廊下に響かせている。



「もーっ、がずっと菊丸を見てた所為だからねっ?」
「だからごめんってば!だって英二かっこいいんだもんっ!」


口喧嘩を繰り広げながら通った家庭科室の入り口。

幸いまだ家庭科の怖い先生は来てなくて、少しざわついた家庭科室にほっと胸を撫で下ろした。

後ろの方の空いていた席に座って、今日作るクッキーの材料を確認しながらさっきまで見ていた英二の後姿を思い出す。

テニスをしている所為でがっしりとした肩、太陽をキラキラと反射するキレイな赤毛。

英二ってサッカーしててもかっこいい・・・。 とついつい一人でニヤけてしまう。

があたしのそんな顔を見て溜息を吐くと同時に 家庭科の先生が到着した。



「さあーて、これからクッキーを作るわよー?忘れ物はないわねー?」


目の前に広がったのは

小麦粉と卵とバター、はちみつに砂糖に牛乳。




























       太陽王子





























かなり落ちてきた夕焼けに照らされた教室であたしは一人で英二を待つ。

鞄の中には、家庭科の授業で作ったクッキーが綺麗なピンク色でラッピングされて入ってる。

凄い時間をかけて丁寧にラッピングをしたクッキーが凄い愛おしく思えて

英二が喜んでくれますようにって願いをかけておいた。



ふと時計を見上げればそろそろ部活が終わる時間だった。


テニスコートが見えるかな って窓を覗き込んでいると後ろから掛かった愛しい人の声。


!おっ待たせ〜!・・・って、何してんの?」


「英二!お疲れさまー!何って・・・・テニスが終わったかどうか見てたんだよ〜?」


座っていた椅子から飛び降りて英二のところへと走っていく。


きっと部活が終わってすぐに着替えて来てくれたんだろう。

英二の顔からは未だ汗が伝っていた。 

そこまで急いでくれたのが嬉しくてあたしがニコニコと笑ってたら


「何でそんな笑ってんだ〜?」


って 英二も楽しそう。 なんか嬉しかった。


「何でも無いっ!それじゃあ帰ろう?」


「ん、そだね」


さらっと英二があたしの手をとった。
驚いて英二を見上げると 照れくさそうに笑う英二。

そのほんのり赤くなったほっぺたを見るとあたしまで恥ずかしさがこみ上げてきたりした。


































「それで不二がさぁ〜、俺に八つ当たりしてくるんだよ?」

「あははっ、でもそれは越前君が悪いかも・・・」








他愛も無い話で盛り上がってると 忘れそうになった鞄の中の大事な大事なもの。










「そういえばっ・・・!」

行き成り会話を切り上げたあたしを英二が不思議そうに見つめる。

鞄からラッピングが崩れないようにそっと取り出して、英二に差し出す。


「あのねっ・・・家庭科の時間に作ったクッキー・・・なんだけど!英二、甘いもの好きだよね・・・?だから・・・どう・・・ぞ?」




きっと今のあたしの顔は真っ赤だと思った。



願わくば、どうか夕日があたしの顔の火照りを隠してくれていますように。




ふっとあたしの手の中にあった感触が無くなった。

顔を上げてみれば、満面の笑みの英二の手の中にあたしが作ったクッキーがあった。


「ありがと〜!凄い嬉しいよん!今開けてもいいかにゃ?」


「うんっ!どうぞ!」


いそいそとラッピングをといていく英二。今なら英二に猫耳をつけてもバッチリ決まりそうでちょっぴり笑えた。


「うわあ・・・凄いうっまそ〜!それじゃあ、いっただっきまーすv」


英二が一枚のクッキーを手にとって口に運ぶ。














「うんっ!すっごいうまいよんっv天才っ!」















満面の笑顔でピースをする英二に、ほっと安堵を零した。


「良かった・・・。砂糖の分量とか間違ってなくてヒヤヒヤしたよ〜」


次々に残ってたクッキーを口に運ぶ英二。

英二の嬉しそうな笑顔に、あたしも凄い嬉しくなった。


全部食べ終わって満足そうな英二が、あたしの方を向いて問いかける。

ー?あれ、凄い美味しかったにゃ〜!何か特別なものでも入れた?」


英二の可愛すぎる質問に、思わずクスクスと笑みを零して。


「特別なもの・・・か、まあ入ってるって言ったら入ってるのかもねv」





頭に?を浮かべている英二にそっと教えてあげた。







「誰よりも特別な愛が入ってるよ」 って。









また英二にクッキーを作ってあげよう。



材料は




小麦粉と卵とバター、はちみつに砂糖に牛乳。


それから 特別な愛をひとつ。


































Love for you!!

























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定番のお菓子の差し入れ・・・!
お菓子、と聞いて浮かぶのはやっぱり青学の彼なんです。(笑)